マツの病気ー根の病気
つちくらげ病
主として茨城県以北の太平洋沿岸、山口県以北の日本海沿岸のクロマツ海岸林、特に海水浴場、釣り場などに多発しますが、内陸地帯の観光地、公園などのアカマツやカラマツ林にも発生して団状枯損を引き起こします。この病気は林内の焚火や山火事跡地に発生し、年に3〜5mずつ外周に広がり数年後には終息します。松がこの病気に侵されると針葉が次第に生気を失って黄褐変、萎れて枯れます。被害木は梅雨期と秋に発生し、その症状はマツ材線虫病に似ており区別しにくいものです。また、この病気がマツノマダラカミキリの生息地に発生すると、その産卵対象木、つまりマツ材線虫病の感染木になる恐れがあります。 この病気は、ツチクラゲと呼ばれるきのこの一種によって起こされる土壌伝染病です。きのこは主に秋に被害木の地際やその周辺に発生し、茶褐色〜栗褐色、若いうちは周辺が白〜黄色、柔らかくて光沢があります。大きさは直径数cm〜10cm程度、牛糞状なので見付けやすいものです。この病原菌は松林などに広く生息しており、焚火や山火事などが発生すると、これが誘因になって菌の密度が急速に高まって松などの根を侵すといわれています。したがってアカマツ林内やその周辺での焚火やゴミなどを燃やさないことが大切です。 なお初期被害地では、病気の蔓延防止溝の設置と薬剤施用を組み合せた蔓延防止法が試みられています。
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ならたけ病
松類の他にヒノキ、カラマツを始め多くの樹種の根や幹の基部が侵されて立ち枯れ症状をしめします。この病気に罹ると春に新芽は伸びますが、梅雨明けころから秋にかけて針葉が黄変、萎れ、やがて枯れてしまいます。その症状はマツ材線虫病に似ており、外見から区別するのは難しいものです。被害は一般に単木または小集団状の発生ですが、枯死木の発生時期からみて、つちくらげ病と同様にマツノマダラカミキリの産卵対象木としても軽視できません。 この病気も土壌中に生息するナラタケ(食用としても美味)と呼ばれる病原菌によって起こされる土壌伝染病です。
この病気の診断の決め手は、枯死木の幹の基部の樹皮を剥ぐと、白色、膜状の菌糸膜が形成されており、これを嗅ぐときのこの匂いがします。また古い枯死木の根や根株などには褐色〜黒色で光沢のある細紐状または針金状の根状菌糸束が絡まりつき、付近の土壌中にも蔓延しています。秋に枯死木の幹、根元などからきのこが多数発生してきます。 ならたけ病の発生には地形や土壌水分などが関係するようで、例えば比較的ゆるやかな台地の尾根付近や斜面下部の中だるみ地形で、梅雨期の一時的な過湿が根を腐らせ、病気を発生させるといわれています。 |