HOME > 講座・研究会 > 松原再生シンポジウム開催 > 報告1 > 報告2
松原再生シンポジウム
第5回 松原再生シンポジウム
「これからの松原、地域を再生するために」 ご報告2
第2部は、コーディネーター:近田文弘氏(国立科学博物館名誉研究員)、パネリスト:林田光祐氏(山形大学農学部教授)、伊藤弘氏(東京大学大学院農学生命科学研究科助教)、三沢英一氏(万里の松原に親しむ会会長)のご出席を得て、「これからの松原、地域を再生するために」をテーマにパネルディスカッションを行いました。
パネルディスカッション
まず、林田氏より大震災後に日本海岸林学会が行った海岸林再生への動き、会場から吉崎氏(日本海岸林学会会長)が学会の取り組み姿勢を補足、伊藤氏より日本造園学会による沿岸部における公園緑地・海岸林再生の観点からの調査実施について、会場から、日本緑化工学会による千葉県浦安市での液状化に対する樹木、根系の機能調査から一定の有効性が確認されたこと、日本樹木医会により仙台平野、石巻市周辺などでの「津波被災地の土壌調査報告書」を作成・公表したこと、あるいは、釜石市根浜海岸に立地するホテル宝来館は海岸林とともに被災し、もともと小さな海岸林だったが残った松林の保全・再生に支援してほしいとの地元の意向などが報告されました。
さらに、海岸林再生に植栽する樹種に関し、クロマツ重視や広葉樹植栽等の様々な考えがある中で、汀線の最前面はクロマツでなければ生育困難であることが、長い海岸林造成の歴史の中で裏付けられてきたことを改めて確認しました。東北でも日本海側の沿岸流と北西の季節風の影響により発達した砂浜に造成された地域の海岸林と、太平洋側の外海からの風の影響が異なる地域での海岸林に差はあるものの、前線部にクロマツを植栽することが前提となります。仙台平野内陸部における屋敷林・居久根が津波の減衰に一定の効果を発揮し、構成樹種は主に広葉樹であることも検証されたことから、土地利用計画の中で沿岸部に作られるバッファーゾーン、公園緑地において広葉樹の役割も想定されます。
近田氏の「いろいろな研究者が協力して海岸林の再生に取り組まなければならない。津波を減衰し、景観を作り出すことは、白砂青松の海岸風景を好む日本人には大切なこと。まず、松原の再生は地域で議論し、地域で決めていくことが大事。津波の常襲するわが国は、何よりも海岸林を早く復元することが急務である」との言葉でシンポジウムを結びました。
パネリスト 伊藤氏
パネリスト 三沢氏
質疑に答える日本海岸林学会会長・吉崎氏
当日、全国から約90名の方々にご参集いただき、会場に高田松原および希望の松保護対策に関するポスター展示を行いました。
このシンポジウムは、公益社団法人国土緑化推進機構の協賛、林野庁、全国森林組合連合会、日本海岸林学会、公益社団法人ゴルフ緑化促進会、一般社団法人日本樹木医会、松保護士会の後援をいただくとともに、公益社団法人国土緑化推進機構「緑と水の森林基金」の助成を受けて実施しました。
ダウンロード
日本の松原再生運動第1期の成果 瀧 邦夫(日本緑化センター企画広報室長) |
PDF 3.25MB |
報告1 庄内海岸松原再生計画その後の取り組み 三沢 英一氏(万里の松原に親しむ会会長) |
PDF 2.65MB |
報告2 子どもの松原再生プロジェクトその後の取り組み/東京都大島町の事例 飯野 桂子氏(松保護士・樹木医) |
PDF 1.31MB |
日本の松原再生運動第2期の展開 瀧 邦夫(日本緑化センター企画広報室長) |
PDF 2.23MB |
パネリスト 林田氏