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講座・研究会

松原再生シンポジウム

 

第5回 松原再生シンポジウム

「これからの松原、地域を再生するために」 ご報告


 

受付の様子

受付の様子

「希望の松」保護活動パネル展示

「希望の松」保護活動パネル展示

開会の挨拶

開会の挨拶 専務理事・前田

当センターの取り組んでいる『日本の松原再生運動』は、松原の有する環境・観光・健康資源という3つの価値を再認識し、これらの資源価値を発揮しながら、もう一度地域の人たちが松原へ足を運ぶ、人と松原の関係を再生することにあります。平成23年度はこの運動の第1期の最終年でしたが、その年にわが国は東日本大震災に見舞われ、多くの海岸松林を失いました。これら失われた海岸林の再生を含め、今後、運動の第2期へ向かうにあたり、第1期の成果と第2期の展開についてご報告するとともに、このシンポジウムを通じて、これからの松原、地域を再生するために大切なことは何かを考え、国民参加の森林づくりの支援に役立てます。

 

平成24年6月27日に東京国際フォーラム(東京都千代田区)において、当センター主催のシンポジウムを開催しました(開催要項・プログラムはこちら)。

当センター前田専務理事の開会の挨拶に始まり、第1部のこれまでの運動の成果と次の展開について、瀧企画広報室長から、「日本の松原再生運動第1期の成果」を報告、再生運動のねらいと運動の姿を見える化する2つの取り組みをお伝えしました。

1つ目の取り組みである地域の人たちが元気になる「人と松原の関係を再生」するモデルづくりは、庄内海岸松原再生計画/山形県鶴岡市・酒田市・遊佐町(平成18・19年度)、伊勢市二見地区松林再生計画/三重県伊勢市および三里松原再生計画/福岡県岡垣町(平成20・21年度)、煙樹ヶ浜松原再生計画/和歌山県美浜町および津田松原再生計画/香川県さぬき市(平成22・23年度)の5つを作成しました。これらの計画は、松原の立地、環境、所有形態、松原の生い立ちや関係組織などモデル性を考慮して作られたものです。

もう1つの取り組みは、マツが消失した海岸に、小学6年生が卒業記念にもう一度マツを植え将来の松原をめざす活動です。山形県から宮崎県までの15市町でモデル植樹を行いました。これらの植樹は、6年生が植えたマツ苗を在校生が育てる、点で始まった植樹を周辺、隣接市町村へ線として結んで行くことをねらったものです。

あわせてマツの魅力を様々な角度からとらえるため、マツ専用ウエブ開設による情報発信、松原の今と昔を知らせる「身近な松原散策ガイド」、「松原の今昔物語」、マツをテーマとする書籍の発刊、さらに、平成23年度は「津波被害から松原、地域を再生する」をテーマに当センターの機関誌「グリーン・エージ」での連載、2回の座談会、陸前高田市「希望の松」保護活動といった大津波に被災した松原の再生に関する情報発信を重点的に進めました。

このような一連の取り組みを通じて、日本の松原再生運動第1期の成果は、全国の人たちから「松原再生への共感」を得ることができたことです。

 

続いて、5つのモデル計画の中から、三沢英一氏(万里の松原に親しむ会会長)より、『庄内海岸松原再生計画の「多様な主体」の一員として』と題して、2市1町の公共・民間で組織されている出羽庄内公益の森づくりを考える会・推進部会の一員である万里の松原に親しむ会10周年事業(平成23年度、奥の細道古道を復活、DVD・子どもと大人の「協働」10年の歩み作成)、鶴岡市、遊佐町での取り組み、森づくりフォーラム「津波と海岸林」(出羽庄内森づくり事業)開催などの報告をいただきました。

また、15箇所のモデル植樹の中から、飯野桂子氏(松保護士・樹木医)より、「子どもの松原再生プロジェクトその後の取り組み/東京都大島町の事例」について、実施状況、植樹後の取り組み、大島に残る大宮の松原の保全などについてご説明いただきました。

 

庄内海岸松原再生計画のその後

庄内海岸松原再生計画のその後 三沢氏

子供松原再生プロジェクトのその後

子供松原再生プロジェクトのその後 飯野氏


 

再生運動第2期の展開を説明

再生運動第2期の展開を説明 企画広報室長・瀧

次に、瀧企画広報室長から「日本の松原再生運動第2期の展開」を発表いたしました。

まず、「今後における海岸防災林の再生について」(平成24年2月、林野庁)に示された海岸防災林の再生方針、「東日本大震災からの復興に係る公園緑地整備に関する技術的指針」(平成24年3月27日、国土交通省)における公園緑地の計画・設計等の考え方、岩手・宮城・福島3県の復興計画における海岸防災林の位置付け、さらに陸前高田市、岩沼市、相馬市の震災復興計画を例に海岸林再生への視点などを解説しました。

 

これらの状況を踏まえ、次表に示す5つの取り組みを説明しました。

(1)日本の松原再生事業
「被災松原の再生計画作成」の支援
震災復興計画の中で松原の復元を計画している市町村の計画作成を支援する。復興計画の事業進捗状況を考慮しながら、防潮堤再建、植栽基盤造成など海岸林植樹のための基本条件の整備に対応して、市町村と連携を図りながら松原再生計画作成を支援する。
(2)被災松原の保全対策の支援 被災松原の関係者による支援要請を受けて、全壊ないし部分崩壊した被災松原の現状診断と当面の生立木等の保全対策についてアドバイスを 行う樹木医・松保護士等で構成する技術支援チームを派遣する。おおむね平成24・25年度の2ヶ年間にわたり、年間に5ヵ所程度に支援チームを派遣する。
(3)松原の姉妹提携による支援 (1)の計画作成松原などについて、全国の松原保有市町村に松原姉妹提携を呼び掛ける。このようなペアリング支援を結びつけ、ヒト、モノ、資金、および松原をフィールドとする小中学生の環境学習の展開など多様な交流を図り、再生を加速化し、持続性を高める。
岩手、宮城、福島など被災県に各1ヵ所の提携モデルをつくる。
(4)被災松原の復興に資する情報提供による支援 被災県および市町村の協力を得て、被災松原の復元に関する情報を収集し、計画策定、 事業実施状況、各地の植樹イベント、植樹に関わる関係組織、資金等の調達策などの情報・アイデアを関係者の中で共有するとともに、全国からの松原再生への様々な参加、協働の行動を地元につなげる。
(5)TSUNAMIに備える国日本の姿を世界に発信 地震と津波の常襲するわが国の沿岸地域の人たちが松原を減災と景観形成の観点から捉え、津波をいなし、暮らしを営んでいる姿、理念を世界に発信する。

 

運動第2期は、東日本大震災により被災した海岸林を対象として、これら5つの取り組みを進めることにより、地元および全国の人たちの「松原再生への行動を促す」ことをめざします。

 

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