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開催報告:NGK・GGG共同主催 平成23年度「ゴルフ場の樹木管理セミナー」
平成24年3月30日(金)、午後1時から東京国際フォーラム(東京都千代田区)において、社団法人日本ゴルフ場事業協会(NGK)および公益社団法人ゴルフ緑化促進会(GGG)の共催による「ゴルフ場の樹木管理セミナー」が開催されました。
このセミナーは、ゴルフ場の経営者、支配人、グリーンキーパー等管理者の皆様に、ゴルフ場の緑地機能を高めるための適切な樹木管理(木材腐朽病害、マツ枯れやナラ枯れの防除等)への理解を深めていただくことを目的に、その第1回として学識経験者を講師にゴルフ場の樹木管理に関する基礎的な内容を座学形式で学んでいただきました。
主催者を代表して冒頭挨拶に立ったNGK大石専務理事は「全国のゴルフ場総面積は約27万ヘクタールで神奈川県の面積約24万ヘクタールより広い。ゴルファーにとってゴルフ場の樹木はプレーの質を維持する基本的な要素であり、それらの的確な管理に対する知識と技術は大切な経営資源となります」と指摘されました。
開会の辞 大石専務理事
NGK 大石専務理事
セミナーは4つのテーマにもとづき、まず、『ゴルフ場の樹木管理』をテーマに、濱野周泰教授(東京農業大学造園科学科)から「樹木管理には樹木の成長や遷移を抑える抑制管理があり、個々の樹木が全体として1つの環境を形成しており、人はその演出者であることを理解することが大切」と、ゴルフ場における樹木管理の実態について写真を交えながらわかりやすく説明されました。
続いて、『木材腐朽病害の診断と対策』に関して講義された阿部恭久教授(日本大学森林資源科学科)は、「生きているうちに木部の分解が始まる腐朽病害は、菌類が腐朽を引き起こし、深刻な被害木は倒伏や幹折れしやすいこと。広葉樹に多く発生し、剪定・不良な土壌条件・ストレスによる枝や根の枯死、踏圧による根の傷みが誘因となり、菌類が侵入するもので、早期発見と早期対策が当面の対応として極めて重要である」ことを強調されました。
さらに、『マツとナラ類の萎凋病』について、田畑勝洋客員教授(岐阜県立森林文化アカデミー)は「マツ材線虫病の被害木の根にもマツノザイセンチュウは増殖し、地中で隣接する健全木の根と癒合しているとそこから侵入し感染する可能性も注目すべき」であることや、枯死のメカニズム等について詳細な解説が行われました。 最後に、『抵抗性マツの育成』と題して山田利博教授(東京大学大学院農学生命科学研究科・千葉演習林林長)より、「千葉演習林の育種は、激害地で生き残った樹木に直接マツノザイセンチュウを接種し、枯れない樹木を母樹として抵抗性マツ苗を作出しており、これまでにゴルフ場などへ実生・接ぎ木あわせて10万本以上を配布している」ことが報告されました。
東京農業大学 濱野教授
日本大学 阿部教授
岐阜県立森林文化アカデミー 田畑客員教授
東京大学 山田教授
閉会にあたりGGG麻生専務理事より「次年度からは毎年、東日本、西日本の2か所において、実際にゴルフ場をセミナー会場として樹木管理の実務研修を考慮するとともに、全国のゴルフ場を対象とするアンケート調査を予定しています。全国のゴルフ場管理者などから要望される学びたい項目を把握し、それらの中から適宜セミナーのテーマを選定することにより、内容の充実を図ってまいりたい」との挨拶がありました。
今回の東日本地区セミナー参加者は83名、そのうちゴルフ場スタッフは約7割を占め、午後5時まで熱心に受講されました。なお、当センターは、本セミナーの企画・運営に協力いたしました。
閉会の辞 麻生専務理事
GGG 麻生専務理事
セミナー会場の受付
セミナー会場の模様
講義風景
講義風景