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NGK・GGG共同主催 平成24年度「ゴルフ場の樹木管理セミナー」東日本地区 報告

 平成24年12月3日(月)、川崎市多摩区にある明治大学生田キャンパス(座学)および隣接する川崎国際生田緑地ゴルフ場(実習)を会場として、一般社団法人日本ゴルフ場事業協会(NGK)および公益社団法人ゴルフ緑化促進会(GGG)の共催による「ゴルフ場の樹木管理セミナー」が開催されました。

 

 このセミナーは平成23年度より当面5年間実施するもので、ゴルフ場の経営者、支配人、グリーンキーパーの皆様にゴルフ場の緑地機能を高めるための適切な樹木管理への理解を深めていただくことを意図したものです。今回はマツ枯れとナラ枯れについて理論と実践を学んでいただきました。

 

 GGG桜井副理事長による開会の挨拶では、マツ枯れとナラ枯れのメカニズムと対策について、まず、座学で専門研究者による最先端の知見を分かり易くご説明いただき、その後、ゴルフ場に場所を移し、実際の防除方法を具体的に説明を受け実習していただきます、とご挨拶がありました。

 

 来賓の川崎国際生田緑地ゴルフ場・関口副支配人からは、昭和27年(1952)に開場し、今年で60年の歴史を有するゴルフ場は広大な生田緑地(約180ha)の一角を占め、川崎市民に親しまれている都市内に残された貴重な緑地であり、本日のセミナーを参考に管理していきたいと挨拶されました。さらに、座学の会場となった明治大学・輿水教授より、歓迎のご挨拶を受けました。

 

会場のようす

会場のようす

公益社団法人ゴルフ緑化促進会 櫻井尚武副理事長

公益社団法人ゴルフ緑化促進会 桜井尚武副理事長


川崎国際生田緑地ゴルフ場 関口正敏副支配人

川崎国際生田緑地ゴルフ場 関口正敏副支配人

明治大学 輿水肇教授

明治大学 輿水肇教授


 

 座学の最初の講師は「ゴルフ場を想定した松くい虫被害対策」をテーマに、中村克典氏(森林総合研究所東北支所チーム長:松くい虫担当)から、「松くい虫被害とその防除手法」、「ゴルフ場のマツの松くい虫対策」、「常識的な防除を着実に」という構成による解説をしていただきました。松くい虫被害対策において大切なことは、先例のない取り組みや画期的な新技術をあれこれ試すことではなく、常識的な防除手法を着実に実施すること。そして、これを「当たり前のこと」にしているのは、実務担当者の方々の正確な知識に基づく的確・冷静な判断と高度な技術レベルなのである、と結ばれました。

 

  次の講師は「ナラ枯れの現状と対策について」というテーマで衣浦晴生氏(森林総合研究所関西支所生物被害研究グループ・グループ長)より、「ナラ枯れの被害状況」、「ナラ類集団枯死の原因と枯死メカニズム」、「カシノナガキクイムシの生活史」、「カシノナガキクイムシの繁殖と樹木との関係」、「対策と新たな防除技術」、「被害拡大の背景」を丁寧に解説していただきました。

 都市近郊の里山のコナラやクヌギの林は、数百年以上も薪炭生産に使われ続けてきた林であり、15〜30年周期で順々に伐採・収穫する畑に近いもので、天然の林ではない。ところが、1950年代のエネルギー革命以降に必要がなくなり放置されて全部大径木になった。さらに老木を残して本数を減らす公園型整備(見た目にきれいな林を作る)も行われている。菌を運ぶカシノナガキクイムシは大径木でよく増えることから、こういった里山の変化は、すべてカシノナガキクイムシの繁殖に有利に働いている、という被害発生の背景を説明されました。

 

(独)森林総合研究所東北支所 中村克典チーム長

(独)森林総合研究所東北支所 中村克典チーム長

(独)森林総合研究所関西支所 衣浦晴生グループ長

(独)森林総合研究所関西支所 衣浦晴生グループ長


 

 続いて、座学の会場から隣接する川崎国際生田緑地ゴルフ場へ移動し、参加者は4グループに分かれ各々20分程度で、1)伐倒くん蒸(薬剤)、2)伐倒不織布製剤(ボーベリア菌)、3)樹幹注入(マツ枯れ予防)、4)樹幹注入(ナラ枯れ予防)の実習メニューを同時進行で進めました。あわせて、あらかじめ被害材から取り出したマツノマダラカミキリ幼虫の確認もしていただきました。
4グループに分かれ4種類の実習メニューを同時進行

4グループに分かれ4種類の実習メニューを同時進行


伐倒くん蒸の実習

伐倒くん蒸の実習

4グループに分かれ4種類の実習メニューを同時進行

ボーベリア菌不織布製剤による駆除実習


コナラ丸太を使ったナラ枯れ予防の樹幹注入実習

コナラ丸太を使ったナラ枯れ予防の樹幹注入実習

マツ材線虫予防の樹幹注入実習

マツ材線虫病予防の樹幹注入実習


 

 閉会にあたりNGK大石専務理事より、本日の座学と実習の内容は、参加者皆様のゴルフ場における日頃の樹木管理にただちに役立てていただけるものと確信している。来年3月には西日本地区でも同様のセミナーを予定していることなどを述べられました。

 

一般社団法人日本ゴルフ場事業協会 大石順一専務理事

一般社団法人日本ゴルフ場事業協会(NGK)
大石順一専務理事

実習終了後の閉会の挨拶を聞く参加者

実習終了後の閉会の挨拶を聞く参加者


 

 今回のセミナーには東日本地区から約90名の皆様のご参加をいただき、そのうちゴルフ場スタッフは約8割近くを占め、午後4時半まで熱心に実習されました。実習の実施には、ファイザー(株)、サンケイ化学(株)、井筒屋化学産業(株)、住化グリーン(株)様より資材提供と専門職員の派遣にご協力をいただきました。なお、当センターは、本セミナーの企画・運営に協力致しました。

 

リンク 開催案内とプログラム

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