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最新価格情報<平成29(2017)年度版>
はじめに
この価格調査は、「建設物価」等で掲載していない緑化樹木、グラウンドカバープランツ(GCP)のうち、需要者ニーズの高いものについて情報提供し、需給の円滑化に資することをねらいとしている。
実施主体は、緑化樹木調達難易度判定会議(一般財団法人日本緑化センター・一般社団法人日本植木協会)で、全国の調査モニターによる市場価格調査結果をもとに、判定会議による確認にもとづき行うものである。
調査対象は、緑化樹木、GCPおよび庭園樹木とし、樹種の内訳は、表1に示すとおりである(調査結果の詳細は建設物価「未掲載樹種」を参照)。
表1 調査対象種の内訳
形態 | 樹種数 | 規格数 | ||
---|---|---|---|---|
緑化樹木 | 中高木 | 針葉樹 | 25 | 84 |
常緑広葉樹 | 22 | 76 | ||
落葉広葉樹 | 48 | 151 | ||
小計 | 95 | 311 | ||
低木 | 常緑広葉樹 | 12 | 21 | |
落葉広葉樹 | 16 | 20 | ||
小計 | 28 | 41 | ||
合計 | 123 | 352 | ||
GCP | ササ類 | 4 | 4 | |
木草本類 | 70 | 76 | ||
ツル性類 | 27 | 29 | ||
マット栽培 | 1 | 1 | ||
水湿生植物 | 6 | 6 | ||
合計 | 108 | 116 | ||
庭園樹木 | 造形 もの |
針葉樹 | 8 | 44 |
常緑広葉樹 | 11 | 47 | ||
落葉広葉樹 | 6 | 20 | ||
小計 | 25 | 111 | ||
台付株 立もの |
常緑広葉樹 | 4 | 13 | |
落葉広葉樹 | 2 | 10 | ||
小計 | 6 | 23 | ||
合計 | 31 | 134 | ||
北海道 | コンテナ栽培植物 | 102 | 111 |
緑化樹木をめぐる最近の動き
露地栽培の高木について幹周別供給可能量の動きを検討する。
高木全体でみると、2016年の幹周(C)0.1〜0.21mの供給可能量は約50万本で5年前の2011年の約79万本に対して64.1%(対2011年比)へ減少している。
C0.25〜0.5mは2011年約15万本から2016年約12万本へ75.5%(同)、C0.6m以上では約2万6千本から約2万1千本へ80.5%(同)と低減している(図1)。
すなわち、通常の造園設計で使用頻度の高い規格帯であるC0.1〜0.21mの数量がこの5年間だけをみても大きく後退していることがわかる。
また、形態別にみると、C0.1〜0.21mの針葉樹供給可能量は、2016年約2万2千本で2011年の約2万8千本から80.4%(同)、C0.25〜0.5mは84.6%(同)、C0.6m以上では56.3%(同)とそれぞれ減っている(図2)。
常緑広葉樹は、C0.1〜0.21m で2011年約20万本から2016年約9万6千本へ48.8%(同)の水準へ(図3)、落葉広葉樹は、同規格帯で2011年約56万本から2016年約39万本へ68.6%(同)へ低下している(図4)。
形態別には、常緑広葉樹C0.1〜0.21mの数量が5年間で2分の1の供給水準となっている。
さらに、C0.1〜0.21mの樹種別供給可能量上位20樹種の動きをみる。
常緑広葉樹について、1万本以上の供給水準にある樹種は、シラカシとシマトネリコ、5,000本以上では、クロガネモチ、シマトネリコ(株立ち)、アラカシ、スダジイとなる。2011年に比べて数量が増えている樹種は、シマトネリコ、クロガネモチ、シマトネリコ(株立ち)、ソヨゴ、シロダモであり、残り15樹種はすべて減少している(表2)。
表2 高木常緑広葉樹の幹周0.1-0.21mの供給可能量比較(上位20樹種)
No. | 樹種名 | 2016年 本数(本) |
2011年 本数(本) |
対2011年 比(%) |
---|---|---|---|---|
1 | シラカシ | 21,567 | 56,113 | 38.4 |
2 | シマトネリコ | 17,645 | 8,022 | 220.0 |
3 | クロガネモチ | 9,419 | 9,286 | 101.4 |
4 | シマトネリコ(株立) | 7,493 | 5,813 | 128.9 |
5 | アラカシ | 6,733 | 18,806 | 35.8 |
6 | スダジイ | 5,043 | 7,907 | 63.8 |
7 | マテバシイ | 4,439 | 13,996 | 31.7 |
8 | ウバメガシ | 2,892 | 5,356 | 54.0 |
9 | ヤマモモ | 2,831 | 4,740 | 59.7 |
10 | モチノキ | 2,409 | 3,724 | 64.7 |
11 | ソヨゴ | 2,309 | 2,184 | 105.7 |
12 | タブノキ | 1,998 | 17,472 | 11.4 |
13 | ソヨゴ(株立) | 1,935 | 4,997 | 38.7 |
14 | クスノキ | 1,705 | 8,868 | 19.2 |
15 | ホソバタイサンボク | 1,286 | 3,073 | 41.8 |
16 | シラカシ(株立) | 1,233 | 8,252 | 14.9 |
17 | ホルトノキ | 1,162 | 2,577 | 45.1 |
18 | アラカシ(株立) | 1,160 | 7,540 | 15.4 |
19 | シロダモ | 900 | 230 | 391.3 |
20 | ユズリハ | 813 | 2,328 | 34.9 |
20樹種の平均本数 | 4,749 |
落葉広葉樹について、2万本以上の供給水準にある樹種は、ソメイヨシノ、イロハモミジ(含ヤマモミジ)、カツラ、1万本以上は、ヤマザクラ、サトザクラ(含ヤエザクラ)、ケヤキ、イチョウ、オオシマザクラ、
ヤマボウシ、オオヤマザクラ(エゾヤマザクラ)、ウメ類(白)、コナラである。2011年より数量が増えている樹種は、カツラ、ヤマザクラ、イチョウ、エゴノキ、エノキとなり、残り15樹種はすべて減少している(表3)。
表3 高木落葉広葉樹の幹周0.1-0.21mの供給可能量比較(上位20樹種)
No. | 樹種名 | 2016年 本数(本) |
2011年 本数(本) |
対2011年 比(%) |
---|---|---|---|---|
1 | ソメイヨシノ | 40,580 | 65,935 | 61.5 |
2 | イロハモミジ(含ヤマモミジ) | 22,385 | 30,943 | 72.3 |
3 | カツラ | 21,925 | 19,110 | 114.7 |
4 | ヤマザクラ | 18,592 | 12,374 | 150.3 |
5 | サトザクラ(含ヤエザクラ) | 16,492 | 21,061 | 78.3 |
6 | ケヤキ | 15,183 | 25,455 | 59.6 |
7 | イチョウ | 13,725 | 8,864 | 154.8 |
8 | オオシマザクラ | 12,118 | 18,854 | 64.3 |
9 | ヤマボウシ | 12,022 | 20,180 | 59.6 |
10 | オオヤマザクラ(エゾヤマザクラ) | 10,326 | 15,538 | 66.5 |
11 | ウメ類(白) | 10,192 | 13,596 | 75.0 |
12 | コナラ | 10,167 | 13,741 | 74.0 |
13 | シダレザクラ類 | 9,548 | 12,969 | 73.6 |
14 | エゴノキ | 9,237 | 6,718 | 137.5 |
15 | コブシ | 8,865 | 11,005 | 80.6 |
16 | モミジバフウ(アメリカフウ) | 8,493 | 11,276 | 75.3 |
17 | ウメ類(赤) | 8,229 | 15,126 | 54.4 |
18 | ヤマボウシ(株立) | 7,819 | 19,553 | 40.0 |
19 | エノキ | 7,720 | 4,133 | 186.8 |
20 | ハナミズキ(白) | 7,108 | 17,423 | 40.8 |
20樹種の平均本数 | 13,536 |
上位20樹種の供給可能量の平均本数を計算すると、常緑広葉樹は4,749本、落葉広葉樹は13,536本であることから、常緑広葉樹の供給力低下が一層深刻である。
<記事> ミツバチの生息地を確保する PDF 992KB