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緑化樹木供給・技術情報

価格情報(平成20年度)

はじめに

 この価格調査は、「建設物価」「積算資料」等で掲載していない緑化樹木、グラウンドカバープランツ(GCP)のうち、需要者ニーズの高いものについて情報提供し、需給の円滑化に資することをねらいとしている。
 実施主体は、緑化樹木調達難易度判定会議(財団法人日本緑化センター・社団法人日本植木協会)で、全国の調査モニターの協力を得て行うものである。
 調査対象は、緑化樹木、GCPおよび庭園樹木とし、樹種の内訳は、表1に示すとおりである(調査結果の詳細は建設物価「未掲載樹種」を参照)。


緑化樹木をめぐる最近の動き

 樹木の供給可能量について、樹種毎の供給水準を10年前と比較してみる。
 露地栽培による高木は、98年度1,345万本から07年度649万本へ1/2弱減少し、この間に調査樹種数は2割強(173→214樹種)増えている。本数階層別にみると、5万本未満については98年度に対し07年度はいずれの階層とも樹種数が増えているのに対し、5万本以上層では逆に減っている(図1)。とくに供給可能量5千本未満の樹種数は、07年度に2倍強(37→78樹種)と増えている。98年度に高木全体の68%(118樹種)が5万本未満であり、それが07年度は87%(186樹種)へ拡大している。露地栽培の低木をみると、本数は98年度4,708万本から07年度1,834万本へ6割強減り、10年間で調査樹種数も減っている(93→88樹種)。階層別では、07年度に2.5万本未満で樹種数が上回り、28〜50万本と50〜100万本層で樹種数が顕著に下回っている(図2)。すなわち、露地栽培による高木・低木ともに1樹種当たり供給可能量の水準は、10年前と比べると明らかに低下している。
 次にコンテナ栽培による高木について、本数は8.5倍(91→771万本)増え、10年間で調査樹種数も約1.7倍と大幅に増加している(99→166樹種)。階層別にみると、5千本未満層が98年度から大幅に減り、その分が5千本以上の各層へシフトするとともに、新規調査樹種も全般的に高い供給水準を保持している(図3)。コンテナ栽培の低木をみると、やはり98年度36万本・40樹種から07年度726万本・135樹種へ本数で20倍、調査樹種数が3倍以上に拡大し、すべての階層で07年度の樹種数が上回っている(図4)。すなわち、高木・低木ともにコンテナ栽培は1樹種当たり供給可能量の水準が10年前に比較してかなり高くなっている。
 1樹種当たり平均供給可能量を計算すると、露地栽培の高木は10年間で1/2以下(77,755→30,318本)、低木は6割減(506,239→208,463本)まで水準を落としている。低木の中で最も数量の多いサツキは1,608→497万本と大幅に減り、サツキを除くと1樹種当たり本数は336,947→153,752本となる。一方、コンテナ栽培の高木は5倍(9,233→46,475本)、低木は6倍弱(9,086→46,475本)へ逆に水準を上げている。
 以上のことから、この10年間で緑化樹木1樹種当たり供給水準は露地栽培樹木の下降に対し、コンテナ栽培樹木の上昇がみられた。


トピックス

 花き・植木作目概況2007(米国農務省)から、米国における花き・植木の供給状況を紹介する。

 2006年における温室・植木の総売上高は2005年からわずかに増え(5,200万ドル)、ほぼ170億ドル(約1兆7,510億円、103円換算)となった(図5)。このうち、花き類売上高(図61〜6の合計、主要15州の数値)は、2005年41億ドルから低下、かろうじて40億ドルを保った。この4%の下落は、花・観葉鉢物、花壇・庭園植物、繁殖用材料の低調な売上による。輸入挿し穂や接ぎ穂との競争が売上高を減少させた要因とはいえ、全般的に消費者需要は2006年におけるエネルギーや食料価格高騰により弱められた。


図6 温室・植木売上高(卸売ベース)の内訳−2006年

図6 温室・植木売上高(卸売ベース)の内訳−2006年


 2006年から調査対象が36州から15州へ変更となり、これら15州のウェイトは、2006年温室・植木作目生産者による現金受取高の75%にのぼる。また、15州の生産者比率は2005年でみると67%(7,178÷10,692戸)を占める。調査15州の生産者数は、2005年7,178戸から2006年6,546戸へ600戸以上落ち込んだ。 2006年花き類売上高10万ドル以上を保有している生産者数は163戸少なくなった(表2)。結果として、10万ドル以上の大規模生産者1戸当たり平均売上高は、2005年より2%程多い130万ドル(約1億3,390万円)へ近づいた(図7)。

表1 調査対象種の内訳

 

樹種群

樹種数

規格数

緑化樹木

中高木

針葉樹

25

79

常緑広葉樹

24

75

落葉広葉樹

49

153

小計

98

307

低木

常緑広葉樹

13

22

落葉広葉樹

16

20

小計

29

42

合計

 

127

349

GCP

ササ類

4

4

木草本類

71

76

ツル性類

27

29

マット栽培

1

1

水湿生植物

6

6

合計

 

109

116

庭園樹木

造形
もの

針葉樹

8

44

常緑広葉樹

11

47

落葉広葉樹

6

20

小計

25

111

台付株
立もの

常緑広葉樹

4

13

落葉広葉樹

2

10

小計

6

23

合計

 

31

134

北海道

コンテナ栽培植物

104

111

 
図1 露地栽培高木の本数階層別樹種数の推移

図1 露地栽培高木の本数階層別樹種数の推移

 
図2 露地栽培低木の本数階層別樹種数の推移

図2 露地栽培低木の本数階層別樹種数の推移

 
図3 コンテナ栽培の高木本数階層別樹種数の推移

図3 コンテナ栽培の高木本数階層別樹種数の推移

 
図4 コンテナ栽培の低木本数階層別樹種数の推移

図4 コンテナ栽培の低木本数階層別樹種数の推移

 

出典:

「緑化樹木の供給可能量調査」、(財)日本緑化センター・(社)日本植木協会

 

 
図5 温室・植木売上高(卸売ベース)の推移

図5 温室・植木売上高(卸売ベース)の推移

 
図7 花き類生産者1戸当たり平均売上高の推移

図7 花き類生産者1戸当たり平均売上高の推移

   

表2 花き類売上高階層別の生産者数の推移(単位:戸)

年次

1〜2万ドル

2〜4万

4〜5万

5〜10万

10〜50万

50万ドル以上

合計

2000

1,425

1,678

812

2,858

3,126

1,725

11,624

2001

1,308

1,529

724

2,782

3,048

1,690

11,081

2002

1,732

2,220

992

2,998

3,222

1,752

12,916

2003

1,592

1,941

858

2,873

3,005

1,727

11,996

2004

1,396

1,790

799

2,788

2,908

1,704

11,385

2005

1,211

1,653

732

2,663

2,762

1,671

10,692

2005*

810

1,080

474

1,660

1,881

1,273

7,178

2006p

704

902

414

1,535

1,740

1,251

6,546

注:2005*は15州の調査データ、2006年は36州から15州へ調査数変更、pは予想値

 

 2006年、10万ドル未満の生産者1戸当たり雇用者数は4.3人、10万ドル以上では28.4人となる。大規模生産者(15州)について、雇用者1人当たり平均売上高は2006年47,592ドル、2005年に過去最高を記録した48,257ドルから1%の下落。この低落は1戸当たり平均生産面積の低下によるもので、大規模生産者は2006年平均で施設・露地面積14.5エーカー(5.9ha)、2005年14.8エーカー(6.0ha)から低下。一方、1戸当たり平均施設面積は、5.4エーカー(2.2ha)へ2%上昇し、露地面積は2005年9.5エーカー(3.8ha)から2006年平均9.1エーカー(3.7ha)へ4%低下した。
 それにもかかわらず、大規模生産者の生産面積1エーカー当たり花き類の平均売上高は、2006年に88,411ドル(10a換算:228万円)、4%伸びた。
 NASSによる調査17州における植木生産者は2006年卸売価格で46億5,000万ドル(約4,790億円)を売上げ、2003年から17%増。これらの州は2006年花き類データを調査した15州を含む。総販売数量5億2,070万本は植物と樹木で、野菜、移植苗、繁殖用材料を除く。この数量は、2003年販売の4億5,700万本の植物・樹木から14%伸びている。
 2006年植木作目の中で最も急成長したのは、オーナメンタル・グラスで2003年より91%増、ヤシ類55%、その他木本観賞樹とツル性類32%、果樹・堅果類28%、コニファー27%。繁殖用材料の売上高は16%伸ばし、クリスマスツリー売上高は15%高(表3)。全作目部門の販売量が2006年2桁の率で上昇したにもかかわらず、常緑広葉樹高木と落葉灌木を例外として、平均価格はヤシ類、落葉緑陰樹、落葉花木、オーナメンタル・グラスについて低くなった。全般的にみて、全植木作目の卸売価格は2003年から2006年に3%弱伸びた。
 2006年カリフォルニア、オレゴン、フロリダの植木生産者は合わせて27億ドル、17州の売上高の60%近くを販売した。17州の植木生産者数は2003年から450戸に減り、生産者1戸当たり平均売上高は2003年512,888ドル(5,283万円)から637,344ドル(6,565万円)へ24%の上昇(表5)。全生産者のおよそ半数が2006年少なくとも植木作目10万ドル相当を販売した。これらの卸売平均売上高は140万ドル、2003年から11%アップ。
 2006年植木作目生産に合計471,106エーカー(190,647ha)が使用され、2003年より3%多い。1戸当たり平均生産面積は64.6エーカー(26.1ha)、2003年より9%の拡大。2006年の雇用労働者数は112,672人、2003年113,137人をわずかに下回る。 これら労働者の半数以上54%は、2006年150日以上の支払いを受けていた。150日以上の支払いを受けた1戸当たり平均労働者数は、2003年15人から、2006年16人となった。
 2006年17州で販売されたクリスマスツリー本数は1,160万本、2003年1,030万本から12%増。平均価格は卸売りで樹木1本当たり18.20ドル(1,875円)、2003年から控えめに2%増。クリスマスツリー総生産面積は2003年より6%増え、114,100エーカーへ成長した。オレゴンは販売数量と売上金額の点からクリスマスツリーのトップ生産州で、2番目に大きい生産州ノースカロライナのおよそ2倍の規模。クリスマスツリー売上高は2006年生産面積1エーカー当たり平均で1,845ドル(10a換算:47,509円)、2003年より9%多く受け取っている。これら樹木の約89%は卸売価格で販売され、残りは直接消費者に売られた。輸入クリスマスツリーは2006年2,800万ドルにのぼり、実質的にはすべてカナダから出荷されたモミである。米国への輸入根付き樹木と観葉植物はカナダ産である。カナダからの米国クリスマスツリー輸入数量は、2002年260万本以上から2006年210万本未満へ低減したが、カナダドルの高い交換比率のため2003年以来おおむね2,800万ドルの横這いを保っている。カナダ産クリスマスツリーの平均輸入価格は2003年1本当たり11ドルから2006年13.50ドルへアップした。


表3 植木作目:樹種群別売上高(卸売)と平均価格

樹種群
2006年
2003年
売上高
平均価格
(ドル)
1戸当たり
平均売上高
(ドル)
売上高
平均価格
(ドル)
1戸当たり
平均売上高
(ドル)
(千ドル)
構成比
(千ドル)
構成比
常緑広葉樹

839,375

18.1%

6.88

513,379

820,937

20.7%

6.64

550,964

コニファー

562,250

12.1%

11.69

353,616

443,300

11.2%

11.75

306,146

落葉花木

312,503

6.7%

19.58

210,724

275,636

6.9%

20.56

194,658

落葉緑陰樹

584,249

12.6%

26.15

354,090

511,271

12.9%

29.82

330,706

落葉灌木

647,980

13.9%

6.62

436,939

582,615

14.7%

5.94

407,994

果樹・堅果類

276,396

5.9%

4.45

540,892

216,215

5.4%

4.33

509,941

オーナメンタル・グラス

116,827

2.5%

3.83

129,377

61,213

1.5%

4.00

95,496

その他木本・ツル類

359,210

7.7%

3.56

385,832

273,233

6.9%

3.11

329,992

ヤシ類

203,770

4.4%

21.61

294,040

131,714

3.3%

34.97

257,254

繁殖用材料

345,860

7.4%

-

482,371

298,299

7.5%

-

494,692

生産用移植苗

188,566

4.1%

-

1,943,979

173,074

4.4%

-

1,901,912

クリスマスツリー

210,532

4.5%

18.22

401,013

183,274

4.6%

17.77

401,917

合計、平均

4,647,518

100.0%

8.93

637,344

3,970,781

100.0%

8.69

512,888

注:

年間植木売上高10万ドルを超える事業体を含む、17州の調査
生産用移植苗:野菜・イチゴ移植苗を含む

出典:

Floriculture and Nursery Crops Yearbook. Market and Trade Economics Division, Economic Research Service, U.S. Department of Agriculture, September 2007, FLO-2007.


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