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緑化樹木の樹勢回復技術(診断編)
目 次
- Page1 はじめに・診断の目的・目的と調査
- Page2 調査手順と診断方法
- Page3 衰退度調査
- Page4 病虫害診断・土壌調査
- Page5 倒木危険度判定・総合診断
- Page6 グリーン・エージ掲載記事1
- Page7 グリーン・エージ掲載記事2
この資料は、DVD「緑化樹木の樹勢回復技術ー診断編」をもとに作成したものです。
はじめに
樹木は私達の生活環境に様々な恩恵をもたらします。
緑陰を作り、大気を浄化し、気温を下げ、そして野生生物の生息場所ともなります。ところが、巨樹や古木は、周囲の踏圧、病虫害などいろいろな理由から衰弱し、やがて枯死します。あるいは、台風などで倒れ周囲の建物、走行中の車、歩行者に被害を与えることがあります。
樹木が衰弱し倒木することを事前に察知し、適切な改善策を施す必要があります。樹木が担ってきた様々な役割を、少しでも長く維持するために、緑化樹木の樹勢回復を目的とする診断技術は、欠かせない技術といえます。
診断の目的
樹木の診断には、大きく4つの目的があります。
移植の可否を決める
区画整理事業や道路建設に伴い、既存樹木を移動させる必要が出てきます。
巨樹や古木の場合、樹木が移植に耐えられるか、周辺環境は、移植のための準備や移植工事を円滑に行うことができるかを検討します。
樹木の健全度を知る
街路樹や公園樹など植栽して数十年を経過すると、環境圧や病虫害により樹勢が衰退してくる樹木も出てきます。引き続き健康な状態を維持していく上で、現在管理している樹木の健全度を知ることは大切です。
樹勢衰退原因を見つける
地域のシンボルや鎮守の森のご神木となっている巨樹や古木がだんだんと樹勢が衰え、花が咲かなくなったり、葉の量が少なくなったりしてくることがあります。
地元の財産である樹木を守るため、衰弱させている原因をいち早く究明し、的確な対策を立てることが必要です。
倒木危険度を判定する
巨樹や古木は台風時の強風を受けて倒壊することがあります。樹幹の中に大きな腐朽が進みウロが出来ていたり、根が傷められていることが主な原因となります。
樹木が倒れ周囲の建物や歩行者に甚大な被害を発生させないよう、あらかじめ倒木危険度を判定することはとても重要な課題なのです。
目的と調査
概況調査
衰退度調査
病虫害診断
土壌調査
樹木診断の4つの目的を達成するために行う調査には次の4つがあります。
調査の内容は、その目的によって異なります。
- 移植の可否を決める場合は、衰退度調査と土壌調査を行い、移植方法を検討します。
- 健全度を知る場合は、概況調査、衰退度調査、病虫害診断を行い、管理方法を検討します。
- 樹勢衰退原因を究明する場合は、概況調査、衰退度調査、病虫害診断、土壌調査のすべてを行い、回復方法を検討します。
衰退原因には、踏圧、強剪定、他の樹木による被圧が多くみられます。 - 倒木危険度を判定する場合は、外観調査と精密調査を行い、回避方法を検討します。倒木の危険を引き起こす原因には、根元で行われる工事と腐朽病害が多くみられます。