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工場緑化に関するアンケート調査結果
調査結果<環境戦略と工場緑地整備について>
以下の設問はすべて新規。
Q22 | 本業と工場緑地整備の結びつきをどのように考えているか。(該当項目1つ) |
回答項目(回答数=202) |
件数 |
構成比 |
(1)考えている | 134 | 71.7% |
(2)考えていない | 33 | 17.6% |
(3)どのように結びつくかわからない | 20 | 10.7% |
具体的な本業との関わりについて、187件のコメントを得た。工場緑地を整備することは、企業や商品の「イメージアップ」、顧客や来訪者への「良い印象」などの捉え方が60件(32.1%)、「CSR」の一貫とする考え方が17件(9.1%)みられる。本質的な本業との関わりという観点から、水などを必要とする「製品づくりに自然の恵みは不可欠」と位置づけている回答が10件(5.3%)みられる。
ユニークな事例として、「果樹等の袋掛けを行うことで社員の農作物等に対する意識転換、窓の外の景色を大切することは食にも通ずる」、あるいは、「よい製品は、よい環境から生まれる」、「素晴らしい環境を形成できる企業は生産する製品も素晴らしい」といった、ものづくり現場に昔からある基本哲学の発想もみられる。
いずれにしても、工場の中で緑を育む姿勢は本業が提供する商品に一定の社会的な評価をもたらすことに十分な意義を見いだしていると言える。
Q23 | 生物多様性保全と工場緑地整備の結びつきをどのように考えているか。(該当項目1つ) |
回答項目(回答数=202) |
件数 |
構成比 |
(1)考えている | 85 | 45.0% |
(2)考えていない | 73 | 38.6% |
(3)どのように結びつくかわからない | 31 | 16.4% |
具体的な関わりについて、81件のコメントを得た。コメントの中で、「ビオトープ」という言葉が使われている事例が17件(21.0%)、保全対象とする動植物の固有名称が記載されているもの13事例(16.0%)、野鳥、昆虫、小動物といった生き物の種群別に記載などもみられる。地元DNAを持ったホタルや同じ水系のメダカの保全、遺伝子プールを設置といった専門的な観点の取組もなされている。
Q24 | 環境報告書の中で樹木によるCO2吸収量を試算し、数値を掲載しているか。(該当項目1つ) |
回答項目(回答数=188) |
件数 |
構成比 |
(1)掲載している | 6 | 3.2% |
(2)掲載していない | 157 | 83.5% |
(3)試算の方法がわからない | 25 | 13.3% |
掲載していると答えたうちの1つは、「所有山林・緑地の保全によるCO2吸収量1.5万t」のようにCSR報告書に記載されている。
Q25 | 企業の環境戦略の中に位置付けるため、工場緑地を地域に開かれた空間として機能させ、地球温暖化防止、生物多様性保全などに貢献できるような方向へ改善を図るため、当センターにどのような取り組みを期待するか。(該当項目すべて) |
回答項目(回答数=202) |
件数 |
構成比 |
(1)工場の緑を自己診断できる評価シートを作成し、利用できるようにしてほしい。 | 84 | 44.0% |
(2)自己診断した評価結果に対して、改善提案をアドバイスしてほしい。 | 37 | 19.4% |
(3)改善提案を実行する技術指導をしてほしい。 | 21 | 11.0% |
(4)メール等による質問を受け付ける窓口として、工場緑化相談室(仮称)を開設してほしい。 | 34 | 17.8% |
(5)工場緑地の生物多様性保全の機能アップについて知識が得られる講座を開設してほしい。 | 40 | 20.9% |
(6)他の工場の緑化概況、環境保全、周辺地域との交流などについて情報提供してほしい。 | 82 | 42.9% |
(7)これまで表彰された緑化優良工場など先進事例を視察・研修する機会を作ってほしい。 | 54 | 28.3% |
(8)住友信託銀行などの環境格付け融資など金融機関の融資・ファンドなどを獲得しやすい何らかの認証創設を検討してほしい。 | 10 | 5.2% |
(9)公園・街路などの緑地が、都市緑地に位置付けられCO2吸収源としてカウントされているように、工場緑地も同様に取り扱える検討をしてほしい。 | 81 | 42.4% |
(10)カーボンオフセットのような、企業が他に有する緑地・森林等の面積を緑化面積評価に加味する手法などを検討してほしい。 | 42 | 22.0% |
(11)その他 | 14 | 7.3% |
まとめ
- 表彰制度は、受賞工場を有する企業のイメージアップに有効(83.8%)であり、表彰の形態は大臣賞と会長賞でよい(60.2%)と考えている。
- 現在の緑地維持管理では、環境負荷の軽減(48.0%)と病虫害の防除(41.1%)が重点であり、地域交流で効果的な取組は、周辺の草刈り・清掃(76.2%)とともに、見学コースの景観(45.5%)に配慮することが大切である。
- 今後の緑地整備で力を入れる点は、緑地の質の向上(46.0%)と並んで、周辺景観と調和する(44.9%)ことである。
- 上記2、3の考え方は、自社の工場緑化を一言で表現するコメントの中にも明確に捉えられている。
- 工場緑地整備と本業との結びつきについて、基本的な認識として、工場の中で緑を育む姿勢は本業が提供する商品に一定の社会的な評価をもたらすことになると十分な意義を見いだしている。本質的に本業との結びつきを理解しているのは、製品に水が欠かせない業種で顕著に示されている。
- 生物多様性保全と工場緑地整備の結びつきは、現状、考えている工場(45.0%)を考えていない・わからない工場(55.0%)が上回る結果となっている。
当センターは、以上の調査結果にもとづく各工場の意向を考慮し、2011年度に迎える緑化優良工場等表彰制度創設30周年を契機に、新たな工場緑地整備への取組を展開していくこととしたい。
本アンケート調査にご協力頂いた受賞工場の皆様に改めて謝意を表します。