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NGK・GGG共同主催 平成26年度「ゴルフ場の樹木管理セミナー」西日本地区 報告
平成27年2月6日(金)、福岡県小郡市にある小郡カンツリー倶楽部を会場として、一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会(NGK)及び公益社団法人ゴルフ緑化促進会(GGG)の共催による「ゴルフ場の樹木管理セミナー」が開催されました。
このセミナーは平成23年度より当面5年間実施するもので、ゴルフ場の経営者、支配人、グリーンキーパー、樹木医、松保護士等の皆様にゴルフ場の緑地機能を高めるための適切な樹木管理への理解を深めていただくことを意図したものです。
今回は芝生の管理、広葉樹の管理、マツ枯れ防除について理論を学び、マツ枯れの防除方法を実習していただきました。
冒頭、GGG大西理事長による開会の挨拶があり、昭和48年のオイルショック以降にわが国のゴルフ場は650コースあまりから1,300コースへほぼ2倍に増加し、環境破壊や農薬問題などで強い批判を受けた。
GGGでは地域の環境保全を目的に、ゴルファーの協力金をもとに、これまで200万本以上の樹木を全国の小中学校に植樹してきた。最近は、被災地の福島県でサクラを公園に植樹している。
ゴルフは素晴らしいスポーツであるのに、良い面が理解されず、悪い面ばかりが取り上げれている。全国のゴルフ場が年間460万トンのCO2を吸収し、生きものの豊かな里山として機能していることをPRするなど、ゴルフのブランドイメージを高めたい。
厳しい経営環境の中で、広いゴルフ場を低コストで管理する苦労は大変であるが、混みすぎた樹木を上手に管理するヒントをセミナーで是非掴んでいただきたいと話されました。
来賓の小郡カンツリー倶楽部・水田代表取締役からは、(一財)西日本グリーン研究所を場内に受け入れ、副会長を務める関係などから、今回セミナー会場をご提供した。もともと植木に興味があり、樹木は大切にし、良いコースづくりに取り組んできた。おかげでマツ枯れ被害も少ない状態を維持している。是非、有意義なセミナーの成果を上げていただきたいとご挨拶がありました。
小郡カンツリー倶楽部 水田代表取締役
座学の最初の講義は「芝草の特徴とその管理」について、武内康博氏(一般財団法人西日本グリーン研究所研究部長)から、芝草の種類、ゴルフ場の芝草の特徴と管理について解説していただきました。
生育期が一山型の暖地型芝草と二山型の寒地型芝草の刈り込み・施肥など管理の要点、グリーンで利用されているTifEagle、Championdwarf、miniVerdeのバミューダグラス3品種の特徴、グリーンでコウライシバからベントグラスへ移り変わってきたが夏越しが厳しく、バミューダグラス(ウルトラドワーフ)を採用するゴルフ場の増加等について話があり、芝草は十分検討し選定することが重要と力説されました。
2番目の講義は「サクラ類など広葉樹の管理」について、和田博幸氏(公益財団法人日本花の会主任研究員)から、「樹木を取り巻く環境」、「日本の春を彩るサクラの風景」、「サクラ類の樹勢衰退の要因」「樹木の診断」「樹木を元気で安全なものにする」をわかりやすく解説していただきました。
サクラ類が好む生育環境は、日当たりが良く、水はけがよく適度に湿り気があり、肥沃な場所。樹勢衰退の主因は、てんぐ巣病、コスカシバなどの病虫害、過密な植栽、不適切な位置での剪定などであり、とくに大枝の切除は要注意と強調されました。
3番目の講義は「マツ枯れの防除−マツ材線虫病の機構と防除」について、吉田成章氏(元(独)森林総合研究所九州支所長)から、マツ材線虫病の歴史、マツの枯損、防除長期戦略の考え方、個別防除法、防除の3つの柱(周囲の樹種転換、駆除、予防散布)、ゴルフ場での対応(場合により広葉樹への転換、予防散布は可能な限り徹底、林内にマツ枯れ枝を残さない、周辺との防除連携)について熱心な説明を受けました。
講義中に、講師が準備してきたマツノマダラカミキリ幼虫、材内に作られた蛹室(ようしつ)や成虫の脱出孔、成虫標本、マツノザイセンチュウ抽出液の確認などをしていただきました。
3講義通した13時まで長時間の座学となりました。
会場の様子
(一財)西日本グリーン研究所研究部長 武内康博 氏
(公財)日本花の会主任研究員 和田博幸 氏
元(独)森林総合研究所九州支所長 吉田成章 氏
クラブ食堂での遅い昼食の後、クラブハウスから南コース1番ホール・ティーインググラウンド近く(実習1)と駐車場の奥(実習2)の2か所へ移動しました。
参加者は4グループ・2班に分かれ、各々20分程度で、実習1:1)土壌灌注(マツ枯れ予防)、2)樹幹注入(マツ枯れ予防)、実習2:3)樹幹注入(マツ枯れ予防)、4)伐倒くん蒸(薬剤)の実習メニューを同時進行で進め、2つのメニュー終了後に2班を入れ替えてさらに進行しました。実習1はティーインググラウンド近くで、営業日であったことからたびたび中断しながらの実習でしたが、参加者のご協力でスムーズに実施できました。
1)土壌灌注(マツ枯れ予防)
2)樹幹注入(マツ枯れ予防)
3)樹幹注入(マツ枯れ予防)
4)伐倒くん蒸
実習終了後、再びコンペルームへ戻り、NGK大石専務理事より閉会のご挨拶をいただきました。
一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会 大石専務理事
本日の座学と実習の内容は、樹木をどのように管理し、そのことが地球温暖化防止にどう役立つのか、参加者皆様のゴルフ場における日頃の樹木管理を進める上で参考になるものと確信している。
東日本地区のセミナーでは、ゴルフ場で発生する木質廃棄物のコンポスト化をテーマの1つとした。刈りカス・伐倒木をゴミとみるか、コンポスト化して資源とみなすか、それはどこで切り替わるのか、それによって管理の仕方も変わってくる。結論は、市町村により指導が異なっている。今後もゴミの扱いと水管理がゴルフ場の課題となる。
ゴルフは他のスポーツと同じようにレクリエーション、健康維持という社会貢献に加え、CO2吸収、環境保全というユニークな役割を発揮している。さらに、他のスポーツと大きく異なる点は、公共管理でない民間経営により地域に経済効果をもたらしていることである。
ゴルフ市場の拡大には新しいゴルファーを増やすことであり、ゴルフのイメージを変えていくことが大切である。環境に貢献するゴルフ場の姿を人口の93%のゴルフをしない人たちに示し、ゴルフを理解していただくことを、このようなセミナーを通して皆様と一緒に進めていきたいと結ばれました。
今回のセミナーには西日本地区から約100名の皆様のご参加をいただき、そのうちゴルフ場スタッフは約7割近くを占め、午後4時近くまで熱心に研修されました。
実習の実施にあたり、石原バイオサイエンス(株)・井筒屋化学産業(株)・サンケイ化学(株)・住化グリーン(株)・保土谷アグロテック(株)・大同商事(株)の各社より資材提供と専門職員の派遣にご協力をいただきました。なお、当センターは、本セミナーの企画・運営に協力致しました。
公益社団法人ゴルフ緑化促進会 大西理事長