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高田松原再生講座(第2回)報告
平成28年2月13日(土)、岩手県陸前高田市コミュニティホールにおいて、NPO法人高田松原を守る会、(一財)ベターリビング、(一財)日本緑化センターの3組織共催による高田松原再生講座(第2回)を開催しました。
会場の全体風景
開会に先立ち、平成23年3月11日の大震災で犠牲となられた方々に、謹んで哀悼の意を表し黙祷を捧げました。
開会の挨拶では、高田松原再生活動を支援する(一財)ベターリビング細井部長から、同財団が推進するブルー&グリーンプロジェクトの概要説明がなされるとともに、本講座を通じた市民間の情報共有や保育活動に要する人材育成への期待が寄せられました。
3組織を代表して主催者挨拶を行った高田松原を守る会の鈴木理事長は、「この講座は東日本大震災で失われた名勝高田松原を再生するにあたり、広く市民の声を生かしていくためにはどのようにするか、何をしなければならないかを学び合う機会である。現在、防潮堤工事と植栽基盤造成工事が進み、12月末には完成の予定である。平成29年春からマツ苗の植栽が始まる。高田松原の再生をめざして、市民の皆様と共にこれからも頑張ってまいりたい」と話されました。

高田松原を守る会 鈴木理事長

(一財)日本緑化センター 瀧企画広報部長
続いて、当センター・瀧企画広報部長より、市民による高田松原再生活動について報告しました。
・再生する高田松原の一部に、岩手県・陸前高田市より、一定規模の市民参加による植栽エリアを設けていただくこととなっている。
・"市民による高田松原再生活動"は、高田松原を守る会を通してベターリビングの進めるブルー&グリーンプロジェクトに当センターが技術協力を行い進める。活動の実施にあたっては、岩手県および陸前高田市と密接に連携して進めてきている。
報告に続き、平成27年度の活動内容を説明しました。
平成27年度の活動内容
試験地を設定して、松原の植栽基盤に使う同じ土を1m盛土し、昨年4月に抵抗性アカマツ・クロマツ苗を約400本植栽した(図)。 3年間、根の生育を観察する。試験結果は県に情報提供し、平成29年度からの市民による植栽に役立てる。 植栽1年目にかなり雑草が繁茂したことから、本植栽では除草作業をしっかり行う必要がある。
図 試験植栽地
2)抵抗性クロマツ苗の育成 29年度に植栽するマルチキャビティコンテナによる苗木づくり。
守る会が育てている松原由来のマツ約600本を、クロマツ型、アカマツ型などに判定する講習を東北育種場で受けた。奇跡の一本松は中間型。この情報を本植栽に役立てる。 竹簀は強風から苗木を守り初期の生育を助け、雨水を効率良く地中へ染み込ませ苗木の乾燥を防ぐ。多くの市民や全国の人たちに再生活動へ参加していただく手段となり、竹資源の有効活用にもつながる。29年3月までに市民や全国の松原で活動するグループなどに協力を呼びかけ、約3,000枚を作成する。
5)「高田松原再生講座」の開催 市民・保育ボランティアを対象に開催。高田松原の歴史、文化、環境、地元とのつながりについて学び、活動のエネルギーを持続し、次世代へ活動を継承する。 講座を通して、市民の松原に対する一層の理解と、今後始まる保育活動の核となるボランティアを育てる。 |
さらに平成28年度の活動として、今後の再生活動の内容を説明しました。
今後の活動内容
1)わたしの高田松原(仮称)作品募集 記憶に残る、あるいはこんな松原に再生して欲しいという松原の絵・作文・写真などを市民や全国から募集し、作品展の開催、作品集の作成する。
2)植栽と保育の活動(平成29年度から) 高田松原を守る会と一体に、市民、全国の陸前高田出身者、市でボランティア活動に従事した人たち、各地の松原保全活動グループなど大勢の参加者を募り植栽と保育を行う。 |

森林総合研究所東北支所 坂本知己 地域研究監
その後、講演に移り、森林総合研究所東北支所の坂本知己地域研究監より「海岸林再生の技術的な課題」について、海岸林とそのはたらき、なぜクロマツか、いつ頃からあるか、植えただけでは枯れる、植えておしまいではない、3.11の大津波での海岸林被害の状況と効用(機能の発揮)、これからどんな海岸林を造るかなどについて順を追って説明され、「海岸林と地域の人たちは末永いお付き合いが大切」と結ばれました。
次に、NPO法人高田松原を守る会鈴木善久理事長から「高田松原の震災前の植生」、続いて、岩手県立博物館鈴木まほろ専門学芸員より「高田松原など岩手県の震災後の海岸植生」と題するご講演をいただきました。

NPO法人高田松原を守る会 鈴木善久 理事長

岩手県立博物館 鈴木まほろ 専門学芸員
休憩をはさみ、高田松原を守る会とボランティアの方々の指導のもと、「強い風からマツ苗を守ろう! 高田松原の竹簀づくり」を参加者に体験していただきました。
参加者の岩手県立大学の学生たちも興味津々で竹簀づくりにチャレンジしていました。
守る会は、苗木畑にビニールハウスの竹簀工房を建てて、毎週製作に取り組んでいます。

竹簀づくり風景

竹簀づくり風景

完成した竹簀

ビニールハウスの外観
(一財)日本緑化センター 小禄専務理事
最後に、当センター小禄専務理事が閉会の挨拶を行い、陸前高田市内を中心に約60名の参加を得た4時間あまりの講座を終了しました。
この講座は、毎年1回行う予定です。
(一財)ベターリビング 細井部長