防風林の歴史
 
 1935(昭和10年)、農林省山林局で発行された「防風林」という書籍があります。
  本書には青森県から沖縄県にいたる防風林71例が掲載されています。この中には既に衰退・消失したものもありますが、多くは現在まで立派に引き継がれています。
 身近な松原散策ガイドに掲載されている松原等の往時を知る貴重な資料として紹介します。
  ※順次71例すべてを掲載します。
防風林表紙
 
■ 新シリーズ「松原の今昔物語」掲載一覧
No,
所在地
名称
01
青森県
平舘村防風林
02
青森県
内潟村防風林
03
青森県
屏風山防風林
04
青森県
村端防風林
05
岩手県
沖潮害防備林
06
岩手県
下谷地潮害防備林
07
岩手県
達古袋防風林
08
岩手県
種市防風林
09
宮城県
松ヶ崎潮害防備林
10
宮城県
亦楽(えきらく)防風林
11
宮城県
蒲生官林
12
秋田県
仁井田防風林
13
山形県
八間山外五飛砂防止兼防風衛生魚付林
14
山形県
上河原水害防備兼防風林
15
山形県
能登山外四及新林潮害防備保安林
16 山形県 NEW!西濱潮害防備林
17 山形県 NEW!吹浦村西山防備林
18 福島県 NEW!北濱防風林
26
新潟県
瀬波の松原

番外編

72
沖縄県
仲原馬場(ナカバルババ)と松並木
 
本書発刊の意図(本文から抜粋)
 防風林帯は、その標榜する主目的の外に諸種の効果をもたらすものである。すなわち、その機能はひとり風害を防止して耕地防風林、集落防風林、あるいは森林の防風帯となるのみならず、防雪、防霜に益し、海辺にあっては防潮、飛砂の防止、魚附防霧等の作用を兼ね、かつ風致的価値に富む。また屋敷林として古来住宅地の強風、寒風を防ぎ風致を添え、時に防煙防塵の作用を兼ねしめている実例は枚挙にいとながない。
 現在に見るわが国の防風林は、古来先覚者の苦心経営になったものが多いが、ことごとく摩滅に向かうものが多く、更新撫育その他造林技術を要するに至れるもの、あるいは耕地の拡張、都市の発展等社会の進展に伴い新設を要するに至れるものが甚だ多い。
 わが国は常風強く、かつ著名なる暴風国であることを鑑みれば、防風施設の拡充は産業上すこぶる重要なる問題であると共に、公安上極めて堅要ことであるがためにひとえに防風林の沿革および森林の防風機能を概説しかつ効果事例の一班を録して、これが参考に資せむとするものである。
 
防風林の事例掲載のねらい(本文から抜粋)
 防風林は、樹冠および幹をもって一の障壁を形成して、風に抵抗してそのエネルギーを減殺し、これを阻止攪乱し、風下、風上に渦動層を発生せしめ、風速を緩和することによって防風機能を営むものであるが、暴風時においてその機械的害作用を軽減することはもちろん、平時においては常風を緩和し同時に各種の気象因子を調節して、植物の生育を助長しその増収を図り、また防霜防雪の作用を兼ね、時に防塵、防煙の効果あるものも少なくない。林地の位置によっては、風致を増すことが多く、その海辺に所在するものにあっては、潮風、潮害を防備し、飛砂を防止し魚附の効果をもたらし、また防霧の作用を兼ねる等その効果は甚だ広汎である。木材、薪炭その他林産物によって人生に裨益することは一般の森林と異ならない。今各地における防風林の効果を実例に徴するに、往時より偉大なる効果を納めているものは甚だ多い。また防風林の伐採によって被害を及ぼせる実例も少なくない。左に各営林局署、ならびに各府県庁の調査せるものの内数例を摘録する。
 
※掲載一覧の文章は本文より抜粋
 
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