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園芸セラピーの効用
 
 園芸は誰もが身近に楽しめる、健全なレクリエーションです。人々は園芸活動を通じて心身のリフレッシュによる健康管理を図ることができます。
 園芸の知識や技術を学ぶことは大きな喜びであり、まわりの人との意志疎通が容易となります。
 園芸は、生活の質の向上に少しでも近づく手段として、多くの分野で広く取り組むことのできるテーマといえるでしょう。
 園芸は健常者のみならず、障害者にとって非常に有効であることが、海外では早くから認識されています。
 たとえば、脳の運動神経に障害をもつ子供は、植物の世話をしながら、自分を取り巻く色、形、香りと出合、働いている自分自身の身体を発見することができます。
 将来に対する関心をなくした情緒障害者にとって、いつ発芽するか、いつ花が咲くか、次のシーズンには何を植えようか、といった将来への関心を呼び起こすことにつながります。あるいは、身体に発作の後遺症を残す人に、手と目の連携動作を学習させたり、苗の移植や草むしりは、指や手の機能回復に有効です。

 このように園芸は、障害や障害を持った状態を改善し、障害者が環境に適応し、社会復帰を促すための治療やリハビリテーションの有効な手段であり、草花の栽培技術、公園の植物管理技術の取得は、就業機会をも生み出すものといえます。
 さらに言えば、わが国では先進諸国の中でも、とりわけ急速に高齢化が進んでおり、高齢者や障害者に配慮するノーマライゼーション、あるいはバリアフリーの思想に立った福祉社会をまちづくりの中で実現することが、緑化をはじめ様々な分野においても大切な課題となっているのです。
 その中で高齢者が、近隣の園芸活動へ参加することは、単にレクリエーションや健康管理に止まらず、地域の人々や子供達とのコミュニケーションの機会をつくります。住民グループの一員として、園芸活動を通じて環境美化やコミュニティづくりに積極的役割を果たすならば、孤立感から解放され、高齢でもまだ役に立てるという気持ちを喚起し、新たな生きがいに結びつきます。

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