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「希望の松」後継樹 元気に育つ
林木育種センター東北育種場と住友林業(株)筑波研究所・住友林業緑化(株)の官民2ヵ所で希望の松後継樹を育成している。東北育種場では接ぎ木4本(写真1)の生育が継続している。住友林業(株)筑波研究所と住友林業緑化では接ぎ木3本の生育が持続し、挿し木による育苗も一定の本数が緑葉を維持している状態を保っている。
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写真2 寒冷紗で覆う接ぎ木苗床
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写真3 アカマツ台木に割接した後継樹
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写真4 クロマツ台木に割接継した後継樹2本 撮影:8月4日
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写真5 住友林業緑化鰍ノよる接ぎ木作業
後継樹を育苗する穂木は、4月22日の最初の調査・対策を実施した際に、ツリークライマーの協力を得て採取したもの。関東でマツ類の接ぎ木適期は1月下旬から2月であることから、4月下旬の接ぎ木は不適期であり、難しい状況での試みであった。
「樹木の増殖と仕立」(上原敬二)によると、マツ類は割接(わりつぎ)で行うのが通常である。穂のもとを削り、台木であるマツ類の苗の頭を切り、その切り口を2ツざきにしてそこに挿しこむだけである。住友林業緑化(株)では、割接の他に、芽接、腹接を試みたが割接による育苗が成果を上げつつある。
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写真6 希望の松樹冠部の枝葉(4月22日)
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写真7 後継樹用に採取した枝葉(4月22日)
さて、希望の松は発根促進剤・尿素1000倍液を地表面に散布(7月10日)、発根促進剤を地表面・蒸散抑制剤を枝葉に散布(7月23日)、さらに発酵鶏糞(5kg程度)の施用・木酢液500倍液の地表面散布(8月3日)などを行っている。
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写真1 林木遺伝子銀行110番事業による「奇跡の一本松」の後継樹