今から100年前、明治38年にわが国で初めてマツ枯れ被害を確認

山林広報第4号
山林広報第4号
 
山林公報第4号付録 大正2年4月15日
長崎県下松樹枯死原因調査 林務技師 矢野宗幹
 
 明治38・9年頃より長崎市内における松樹秋期に至りて点々枯死するものあり。漸次その数と範囲とを増加せるをもって同県庁並びに県農事試験場等に於いて調査せるに、枯樹には多数の害虫樹皮に蝕入せるを発見せしも、是等の害虫が果たして枯死の原因をなすものなるや否やについては明確なる断定を下すこと能はざりき。
 
其の後被害は一時多少減少せしが、近年に至りて再び増加し来たり、殊に昨44年には激甚なる被害を見るに至り同市の東方に接せる茂木村付近の如きは林樹の枯死するもの甚だ多かりしを以て、県当局者も此が駆除予防をなすの必要を感じ被害の原因を害虫にありとなし明治45年1月16日次の駆除方法を定め訓令を発して駆除を励行せり。